家族が認知症を患って、見えてくること

介護

認知症の初期症状

認知症を患っている人には、共通の行動がいくつかあります。

その一つには、何度も何度も同じことを、繰り返し繰り返し尋ねることです。

わずかな時間内に、数度にわたって尋ねた後に、ポツリとつぶやいた母の言葉です。

「何度も聞くのは、納得いかないから。」

ここに、認知症を患っている人と接するための大きな一つの答えがあるのかもしれません。

納得がいかないなら、納得がいくまで伝えるということが必要だと思います。

そうした場面になったとき「言ったやろ。」「ちょっと前に言った。」と言っても、何の解決にもなりません。

状況は、悪くなるばかりです。

何度も何度も聞きます。

健常者からしたならば、信じられないほど多くの同じ質問をしてきます。

そのつど、同じ返事を何度も伝えるのは、私にとっても辛いことです。

私は、そうした会話は、できるだけ夕方から夜に掛けて、集中して付き合おうと考えています。

「思い出せない。」

友人の名前を思い出せない。

これは、私にもあります。

この範囲は、まだ物忘れの段階ではないかと思います。

昼食に何を食べた?、夕食に何を食べた?ここまでなら、まだ大丈夫だそうです。

問題は、直前に食事をとったのか?とってないのか?

ここを思い出せなくなってしまったり、今日は何日?これを忘れがちになってしまうと問題です。

また認知症の方は、とにかく心理的に不安である。と、いわれています。

確かに、私がその認知症の初期症状に近づいたならば、自分はどこに行ってしまうんだろうという、大きな不安を抱くような気がします。

周りの人たちの根気、会話が必要なのだろうと思います。

今にも沈もうとする海辺で、二人の男女がベンチに腰掛けて夕日を眺めています。木々のシルエットの中に入り込んだ男女は、更に美しいシルエットを浮かび上がらせています。
沈んでいく夕日

さまざまな支援

認知症の方との付き合い方は、「本人の発言に対して否定しない。」「叱らない」というのが大原則であると言われています。

また、本人がとった行動に対しても、「否定せずに受け入れる態度。」が必要だと書かれてあります。

しかし、四六時中そうした態度で接することは、非常に難しいことです。

そこで利用するのが、デイサービス(一日の日帰りサービス)、ショートステイ(宿泊を含む、短期間のサービス)、そして訪問介護(ホームヘルプサービス)です。

デイサービス

通所介護(デイサービス)は、要介護が必要となった場合においても、そしてそれから後も出来るだけ利用者の居宅において、自立した日常生活を営むことができるようにお手伝いし、また日常生活の向上を目指して、その支援をするサービスです。

利用者のひとりぼっち感とか、家族の身体的にも精神的にも負担を感じる、それを楽にする目的で提供されています。

確かにデイサービスを利用してくれるようになって、私たちは時間のゆとりを持てるようになりました。

本当にありがたいサービスの一つです。

デイサービスの内容は、要介護状態にある高齢者がデイサービスセンター等へ通い、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練を日帰りで行ってくれます。

基本的には、施設の方が自宅から施設まで送迎もしてくれます。

利用者が楽しく通えるように、塗り絵、リズム体操、歌などいろいろなプログラムが用意されています。

デイサービスは外出したり、人と触れ合ったりできるため、閉じこもりや孤立を防ぐことにもつながっていきます。

慣れてくると、楽しみになっていると思います。

短期入所生活介護(ショートステイ)

短期入所生活介護(ショートステイ)を利用できる人は、利用者が可能な限り自分の生活している居宅において生活できている人。

そういった人が対象となります。

引き続き日常生活を営むことができるように、利用者に短期間入所してもらい、入浴、排泄、食事などの介護や日常生活上の世話及び機能訓練を行うサービスです。

利用する目的の多くは、出張で留守をする時、冠婚葬祭などで数日留守にする時、一人で生活してもらうことは出来ず、そのような時に利用しています。

このように家族の身体的及び精神的負担の軽減を図るものとしても、大いに利用する価値はあります。

連続利用日数は30日と決められています。

31日目からは全額自己負担(10割負担)となります。

また、要介護認定期間の概ね半数を超えないものとされており、超過する場合はお住いの市区町村(保険者)に届出をする必要があります。

訪問介護(ホームヘルプサービス)

訪問介護とは、ホームヘルパーの方々が、要介護者の居宅に来てくれるサービスのことです。

どのようなサービスをするかというと、食事等の介護、掃除、洗濯、調理等の援助など、日常生活内でのお手伝いという感じになるかと思います。

このような訪問介護を利用できるのは、居宅で生活を送る、「要介護」と認定された人です。

このようなお手伝い的な役割は、だんだんと増えてくるような気もします。

誰もが、住み慣れた生活をしたいということは、多くの方が望んでいる自然な形だと思います。

そして、訪問介護のサービスには、大きく分けて3種類あります。

「生活援助」「身体介護」「通院時の乗車・降車等介助」です。

色とりどりの色鉛筆が芯を中心に向けて並べられています。色は、赤、青、黄色、緑、紫などです。中心に向いた芯は、それぞれが力を添え合っているような気がします。
中心を向いた芯

・生活援助

生活援助は、日常生活の援助であり、本人に代わって身の回りのお世話を中心とするサービスです。

具体的には、調理、掃除、洗濯、衣類の整理、生活必需品の買い物、薬の受け取りなどがあります。

・身体介護 

身体介護は、利用者の身体に直接接触して行われるサービスです。

食事介助、衣服の着替え援助、入浴介助、トイレ誘導やオムツ交換などの排泄介助、身体の清拭、体位変換など、利用者の体に直接触れて援助を行います。

・通院時の乗車・降車等介助

通院時の乗車・降車介助は、いわゆる「介護タクシー」とも呼ばれています。

要介護者である利用者に対して自宅から通院等の際に、訪問介護員(ホームヘルパー)等が、乗車、移送、降車の介助サービスです。

施設に入っている人が、数日間は家に帰って生活をする場合などに、乗車前もしくは降車後の屋内外における移動等の介助などです。

確かにこうしたサービスがないと、盆、正月など家で過ごすことが出来なくなるかもしれません。

このサービスの費用は、自己負担となります。

そして、要支援の方は利用できません。

事前に確認することが必要ですね。

送り迎えなどの移送にかかる経費(運賃)は、介護保険の対象ではありません。

別途利用者が負担します。

サービスを受けるための流れ

このようなサービス、デイサービスやショートステイサービスそして訪問介護を受けれるようにするためには、手続きが必要です。

準備段階の介護保険の利用申請が必要となってきます。

そして要介護認定を受けます。

次に「居宅サービス」か「施設サービス」にするかを決めます。

ここまでの段階で数週間はかかったように思います。

両親や介護を必要とする近親者の方がおられるのなら、ここまでの段階は早めに準備を進めておいた方がいいように思います。

母の場合、一度目は、本人の希望というか駄々ごねで、数度行ったきりで数年間やめてしまった経験があります。

しかし認定証を受けていたお陰で、次回は事務的な流れはスムーズに運びました。

たとえ証明書が失効していても、スムーズな流れになっていくと思います。

そして、その後は、決定しましたケアマネージャー(介護支援専門員)と施設所の選択、曜日の割り振り、利用する時間の設定など細部にわたって相談しながらお願いをしなければいけません。

個人的に施設との交渉は、できません。

あくまでもサービスを受ける最初の交渉は、ケアマネージャーがしてくれます。

まとめ

・認知症を患うということは、生活にいろいろと支障をきたします。

・要介護者にたいしては、いろいろなサービスの形があります。

・介護サービスを受けるためには、流れを把握しておくことが大切です。

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