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人生百年、これは生命保険会社の謳い文句ですが、平均80代半ばとして、還暦を過ぎたころから認知症のことは、少しずつ気に掛かってきたりもします。
ここに衝撃的な数字が上がっています。
2019年に認知症が原因で行方不明になったと警察に届け出があったのは17,479人。
その内、19年中に所在を確認できなかった人は、245人です。
7年連続で最多を更新したと発表がありました。想像以上の数字です。
この病気の心配なところは、宣告された日から家族を含めた介護がはじまっていくことです。
いつまでという、終わりは分かりません。
日常生活は、いろんな人の手を借りながらつづいていきます。
認知症
現代の医学では、認知症は予防できないとされているのですが、認知症に起因しない認知症(ぼけ)は予防できます。
ちなみに認知症という言葉は、2004年に厚生労働省が「ボケ」「物忘れ」「痴呆」などの呼び方を「認知症」に名称変更し周知されていきました。
かなりオブラートに包んだ言い方に変わったという印象は受けます。
ただ本書は、病気でもないのにボケたようになってしまう人の予防法を書いている本なので、こんな風な表現でいいのかなと思うくらい、ばんばんと遠慮なく「ボケ」という言葉がでてきます。
しかし、予防に役立てればいいので気にしないで読んでいきます。
著者は、和田秀樹氏。
三つに分けて紹介していきたいと思います。
0.5%→40%
65歳から70歳の年代では、認知症の人は、わずか0.5%です。200人に1人。
ということは、70歳までは、ほとんど認知症にたいして不安を感じたりしなくていいということです。
しかし、85歳くらいから約40%の人が認知症に罹るというのです。この15年の間に急激な増加です。
この急上昇の原因は、どこにあるのか? ということになりますが、65歳~70歳間の人のなかには、認知症でもないのに認知症になったようになる人が10%もいるそうです。
その人たちが認知症へと入っていく、ということです。
その様子は、定年退職して口数が減る。
テレビを見てボンヤリと一日を過ごす。
自分から計画して実行することがない。
あげくのはて妻からは、うとんじられる。
つまり、はつらつさや活気がなくなった姿です。
このような人は、脳の活力が失われ、うつ病になっていく確率が高くなるというのです。
そして、その脳へのダメージが将来的なアルツハイマー型認知症へと移行する可能性が高まっていきます。
毎日、決められた仕事の範囲内で動いて、それが突然ポッとなくなってしまう。
そして、刺激や変化の何もない生活になっていく。
逆に考えてみると、この時期、65歳~70歳のあいだの脳をどのように若々しく保つのか?
ここに認知症に罹る可能性を下げる秘訣があります。
行動が、心の変化を生みだす
興味深いことが書いてあります。
「人間の心のあり方は、内側から湧きでるというよりも、外側から規定されてくるという考え方が主流になっている。」というものです。
それは、精神分析で心の奥深くを探って原因を突き止めるやり方ではなく、行動を変えれば心も変わるという行動療法が注目されているようです。
むつかしく書いていますが、簡単に言うと、行動すると前頭葉に良い刺激が与えられ、認知予防へと繋がっていくということなのだと思います。
キーワードは、人とのつながり
ここで興味深い発見があります。
体を動かす・散歩する→体にいいことは脳にもいい。
これがすべての答えのように思えてきますが、決してそうではありません。
運動嫌いな人もたくさんいます。体が弱い人にとっては、
そのような動きは、ハード過ぎると感じている人もいます。いろいろです。
そして、そのような運動よりも、もっともっとイイ方法があります。
脳にとって若々しく意欲も好奇心も失わなくなる方法は、
それは、人とのつながりにあるといいます。
そのつながりを大切にし、人と出会い、食事をしたり、遠くまでも出かけていく。
脳は、人とのネットワークをつくることに快感を覚えるそうです。
そして、どんどん活性化されていきます。
定年を過ぎ家にいると、地域の人たちなどから、サークルや自治体に入るように誘われるかもしれません。
そうした事にたいしてどんどん積極的に交流を深め、人への親切ややさしさを発揮していくと、それが認知症を予防する第一の鍵になるのだといいます。

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