細胞の数は、60兆個?!

コラム

エピジェネティクスは、日本語では、「後成遺伝学」と呼ばれています。

そして「後成」は、「生まれた後にも変化する遺伝子」というような意味で使われます。

遺伝子のスイッチ、オンとオフに繋がっていくわけです。

しかし、このエピジェネティクスについて理解しようとしても、なかなか見えてないものを分かろうとするわけですから、本を読んでも断片的に、ボンヤリとした残像しか残りませんでした。

そのなかで理解した範囲内で書きますと、

細胞の数は?

人の細胞は、約37兆個あります。

えっ、60兆個じゃないの? って思われた方も多いと思います。

そもそも60兆個という算定は、どこから出てきたの? というと、

人の体重を60キロと想定して、(体積はおよそ60㍑)細胞の大きさを割るとおよそ60兆個になるだろうという、かなりアバウトな方法で割り出されたものだそうです。

そのアバウトな常識が、ずっとまかり通っていたというのが60兆個です。

しかし、その数字にたいして疑問を投げかけたのが、2013年11・12月号の学会誌『人体生物学紀要』に掲載された、イタリアの生物学者エヴァ・ビアンコニを筆頭著者とする「人体の細胞数の推定」です。

人の器官の細胞数を、文献的・数学的、統計的に計算し、論文という形ではじめてまとめました。

彼は、成人の細胞数を37兆2000億個と推定しています。

最近では、2018年に発売された『人体はこうしてつくられる~ひとつの細胞から始まったわたしたち』(著者・ジェイミー A デイヴィス)にも、私たちの体は、250~300種類、37兆個にもおよぶ細胞からできている。と、記されています。

長い時間、60兆個という数字を信じていました。

もちろん、この途方もない数の37兆個の細胞(ビーチバレーコートの砂粒の数の10倍以上と説明されています。)を、誰かが数えたわけではありません。

しかし、定説は、37兆個へと変わっていったようです。

細胞のはじまりは?

その細胞のはじまりは、『精子と卵子が融合してできた受精卵たった一個からつくられます。

受精卵が分裂し、さまざまな機能を持つ細胞へと分化し、適材適所へと移動する。

そして、相互に作用しならがさまざまな生命機能を営んでいる。』と、書かれています。

ここらへんの細胞分裂は、そうやって分裂していくのだという学んだ知識のなかですが、受精卵という一個の細胞のなかから、複雑な人体が作り上げられていくというのは、立ち止まって考えてみれば不思議な神秘性を感じます。

どうやって適材適所へ、手となり足となっていく細胞へとそれぞれが休みなく集まっていくのか? 

その細胞同士が狂いもなくくっついていくのか? 伸びていくのか。

やはり不思議な感覚を覚えます。

細胞を拡大してみると

その細胞のなかには、核があります。

そして、その核を見てみると、大きなものから染色体、DNA、塩基の順に見えてきます。

ここの箇所は、文章になると譜面に例えられたり、一冊の本に例えられ、本棚、そして図書館へと繋がって説明されたりしていますが、動画などでは分かりやすく映像として説明されています。

DNAは、細胞の核に折りたたまれて入っています。

延ばすと螺旋階段(二重らせん構造)のようなイメージです。

塩基は、らせん階段の歩いて行くところ、踏み板のところにあるという感じです。

このような遺伝学の四つの基本的なワードは、本に例えられた説明が分かりやすいです。

本にたとえると

本のなかを見ると、詳細に重要な文として書かれてあるページ、箇所がたくさんあります。

その箇所などは、頭を造る、手を造る、足を造るといった情報そのものです。

ページに書かれてある、それが遺伝子です。

そして本そのものは、その莫大な遺伝子情報(遺伝子は、およそ2万個はあるそうです。しかし正確な数は分からないとされています。)を記録しておくものとして存在します。

それがDNAという名の本です。

そのDNAの本は、一つの細胞に一冊あるわけです。

それを乱雑にそこらじゅうに置いておくわけにはいきませんから、本棚に整理しましょう。

その本棚の役割をするのが、染色体です。

イメージしてみると途方もない数の細胞から、私たちは造られているのですね。

そして、膨大な量の染色体の本棚をすべて集め一つにしたもの、それが図書館であり、ゲノム(すべての遺伝情報)です。

ゲノムの定義は、「生物がその生物たらしめるのに必要最小限の染色体セット」といわれています。

ここまでは遺伝学の基本的な四つのワードですが、この設計図通りにいかないということもあるのではないか?

それは後天的な日常生活、習慣などでも変わってくるのではないか?

それを突き詰めてみようというのが、エピゲノムです。

衝撃的な数字です。

先天的に書き込まれた遺伝情報は、どれだけ影響するのか? という疑問にたいして、

一説には、慢性疾患全体で25%。癌に限定すると3%。それ以外の75%、97%は、日常の環境が大切だという説明でした。

何を食べるのか? 

どんな環境なのか? 

運動習慣、ストレス状態などは? 

それに加え、遺伝子のスイッチ、オン・オフとはどういう状態でどのように働きかけられていくのか?

興味深きことは、尽きません。

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