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著者は、斉藤孝氏。教育テレビにもよく出演されている方です。
著書には、「悔いのない人生」「語彙力こそが教養である」など多数です。
本書は、近代日本を代表する文豪・夏目漱石や「学問のすすめ」で有名な福沢諭吉をロールモデルとしながら、いろいろな偉人の人生・考え方に焦点を当てています。
偶然にも紙幣の肖像となっている人たちですね。
三つに分けて紹介していきたいと思います。
ロールモデル
「ロールモデル」とは、自分にとって具体的な行動や考え方の模範となる人物のことです。
人は、誰でも無意識のうちに「あの人のようになりたい」というロールモデルを選び、その人の影響を受けながら成長をするといわれています。
そのようなお手本となる人物です。
小さな頃には対象となる人物が限られており、その中から「お父さんのような人になりたい。お母さんのような人になりたい。」という、そのような思いに近いのかもしれません。
そのロールモデルを取り入れて、知性を磨いていく。
どのようにして磨いていくのか?
私たちが自分以外の対象に興味を向かわせるエネルギーには、「愛」と「理解」の2種類があるのではないかといわれています。
愛のうち、純愛、偏愛といったような愛は、相手に対する大きな熱を持っています。
そして、その熱は、人を理屈抜きで動かすほどの原動力となっています。
一方、理解しようとする行為には、熱はありません。
しかし、好きとか嫌いという感情からではなく、相手を理解しようとする行為には、長い時間が掛かるかもしれませんが、理解をすれば揺るぎのないものとなっていきます。
そして、この理解をするうえでもっとも大切なことは、先入観を取り除くことであるといいます。
少し話しはずれますが、個だけでなく、国と国との関係を考えてみると容易にわかります。
先入観は、私たちが理解するうえでの妨げになっています。
理 解
知性を磨くうえで大切なことは、一人の偉人を、知性者を徹底的に理解しようとつとめることであるといいます。
知性者の残した思考の過程を、書物などで深くふかく探っていく。
そして追体験をしていく。
そうするとこの追体験から「あの人ならどう考えたか、どう行動したか?」と、考えることが自然とできるようになると言われています。
こうしたことは、あらゆる面で必要なことなのかもしれません。
知性を磨くうえでも、スポーツを目指す時でも、また宗教の思想を理解するうえでも、「あの人ならどう考え、どう行動したのか?」見つめていくのに大切なことなのでしょう。
借り物ではなく、自分自身で考えるとは?
自分自身で物を考える。
それが真に知性のある人だといっています。
私たちは、知識人を目指すのではありません。知性を磨くことを目指していくのです。
このことは、ショウペンハウエルの書いた「読書について」にも語られています。
「絶えず読むだけで、読んだことを後でさらに考えてみなければ、精神の中に根を下ろすこともなく、多くは失われてしまう。」と、忠告しています。
本を読んでも、「なるほどね~。」で終わってしまうことが多々ありますが、一人の偉人の書物をもう一度深く読んでみようと考えさせられる一冊でした。
夏目漱石の名言集より
・前後を切断せよ、満身の力をこめて現在に働け
・あなたが今まく種はやがて、あなたの未来となって現れる。

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