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いつの時代でも本を読むことが好きな人は、たくさんいます。一人ひとりの読者は、いろんな読み方で読書を楽しんでいると思います。
「読書について」書かれているこの本は、三篇からなっています。読書については、わずか20数ページしかありません。
本を読む。どのように読み進めたらいいのか?読書する行為にたいして、一石を投じています。
著者は、ドイツ出身の哲学者であり思想家のショウペンハウエルです。
彼は、読書する我々に対して強烈な一言を放ちます。
読書とは、
読書とは紛れもなく、「他人にものを考えてもらうことである。本を読む我々は、他人の考えた過程を反復的にたどるにすぎない。そして、次第に自分でものを考える力を失っていく。」と言っています。
確かに、省みてみるとよくある口癖の一つですが、
読みながら
「なるほどね~。」と、うなずくな! 迎合するな!と言っています。
読書とは、「絶えず読むだけで、読んだことを後でさらに考えてみなければ、精神の中に根を下ろすこともなく、多くは失われてしまう。」 では、どのように読んだら良いのでしょう?
多読をしない。
多読にたいして、「取り過ぎればとりすぎるほど、過剰による精神の窒息死を招きかねない。読まれたものは精神の中に、真の跡をとどめないのである。そして精神は、たくさんのことを次々と重ねて書いた黒板のようになるのである。したがって読まれたものは反芻され熟慮されるまでに至らない。」
消化することなく、次から次へと積み重ねられた思考。そのような読み方は、まったく意味をなさない。食べ物は、食べることによってではなく、消化によって我々を養うのである。と、ただ単に読み続けていくことを否定しています。
そして、重要な書物はいかなるものでも、続けて二度読むべきである。「反復は研究の母なり。」それというのも、二度目になると、その事柄の繋がりがより良く理解されるし、すでに結論を知っているので、重要な発端の部分も正しく理解されるからである。と、説明しています。
文学
読むべき文学にたいして、
文学は、常に二つある。この二つはほとんど無縁の関係にあって、並行の道を歩む。
すなわち文学には、「真の文学と単なる偽の文学との区別がある。真の文学は永遠に持続する文学となる。それは学問のため、あるいは詩のために生きる人々によって営まれ、静かに厳粛に歩む。」
近代文学作品年表
発表年 | 作品名 | 作家名 |
---|---|---|
1885 | 小説神髄 | 坪内逍遥 |
1886 | 小説総論 | 二葉亭四迷 |
1887 | 浮雲 | 二葉亭四迷 |
1888 | あひゞき | 二葉亭四迷 |
1889 | 二人比丘尼色懺悔 | 尾崎紅葉 |
1890 | 舞姫 | 森鴎外 |
1891 | 五重塔 | 幸田露伴 |
1892 | 即興詩人 | 森鴎外 |
1895 | たけくらべ | 樋口一葉 |
1896 | 東西南北 | 与謝野鉄幹 |
1897 | 若菜集 | 島崎藤村 |
金色夜叉 | 尾崎紅葉 | |
1898 | 武蔵野 | 国木田独歩 |
1900 | 高野聖 | 泉鏡花 |
1901 | 落梅集 | 島崎藤村 |
みだれ髪 | 与謝野晶子 | |
1902 | うもれ木 | 与謝野鉄幹 |
1903 | ||
1904 | 君死にたまふことなかれ | 与謝野晶子 |
1905 | 吾輩は猫である | 夏目漱石 |
1906 | 破戒 | 島崎藤村 |
坊っちゃん | 夏目漱石 | |
草枕 | 夏目漱石 | |
囚はれたる文芸 | 島村抱月 | |
野菊の墓 | 伊藤左千夫 | |
1907 | 婦系図 | 泉鏡花 |
蒲団 | 田山花袋 | |
1908 | 春 | 島崎藤村 |
1909 | ヰタ・セクスアリス | 森鴎外 |
1910 | 人形の家 | 島村抱月 |
青年 | 森鴎外 | |
1911 | 雁 | 森鴎外 |
1913 | 木乃伊の口紅 | 田村俊子 |
1914 | ||
1915 | 羅生門 | 芥川龍之介 |
1916 | 高瀬舟 | 森鴎外 |
明暗 | 夏目漱石 | |
1919 | 或る女 | 有島武郎 |
1920 | 惜しみなく愛は奪ふ | 有島武郎 |
1925 | 檸檬 | 梶井基次郎 |
1926 | 伊豆の踊子 | 川端康成 |
1927 | 或阿呆の一生 | 芥川龍之介 |
1933 | 春琴抄 | 谷崎潤一郎 |
1934 | 銀河鉄道の夜 | 宮沢賢治 |
1935 | 雪国 | 川端康成 |
1937 | 濹東綺譚 | 永井荷風 |
1940 | 走れメロス | 太宰治 |
1943 | 細雪 | 谷崎潤一郎 |
1947 | 斜陽 | 太宰治 |
堕落論 | 坂口安吾 | |
1948 | 人間失格 | 太宰治 |
1949 | 仮面の告白 | 三島由紀夫 |
1954 | 山の音 | 川端康成 |
潮騒 | 三島由紀夫 |

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